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『おかね教育』 晶文社
 
子供の頃から教えたいお金の話。

お小遣いの額について、「これが適正」という根拠を示すのは難しい。親の趣味による部分が大きいから。
お金の大切さは、生活の中で実感させるものです。
お金を稼ぐのは喜びもあるが地道な作業だと分からせ、その上で、子供の性格や趣味に応じて額を決めればいいのです。

「にっぽんお金ばなし」という子供のためのほのぼのとした説話も収められています。

朝日新聞2004年5月10日掲載

まず「お金の大切さ」を示して

朝日新聞掲載記事

お小遣いの額について、「これが適正」という根拠を示すのは難しい。親の趣味による部分が大きいから。
我が家の場合、息子には中学生まで定額のお小遣いを与えませんでしたが、自分が好きな音楽の分野でCDをねだられると、つい甘くなってしまった。
 毎月の額を決めていても、ゲーム代や携帯電話にかかる費用を親が払っていれば、金銭管理の練習にはなりません。額の多少より、まず、「お金の大切さ」を伝えなくては。
 私は、貸手と借り手両方にモラルがなくなったと気づいたとき、消費者金融業から手を引きました。努力せずに多額のお金を受け取ると、お金の扱いがぞんざいになり、結局身につかない。多重債務に陥る人は、みえっぱりで甘い人が多かった。
 お金の大切さは、生活の中で実感させるものです。買い物の時、落とした100円玉を「もったいない」と探す。給料日は夫婦が互いに「お疲れさま」と感謝し、「今月はよく働いたよ」などと話し合う。
 お金を稼ぐのは喜びもあるが地道な作業だと分からせ、その上で、子供の性格や趣味に応じて額を決めればいいのです。


週刊朝日2004/6/25号掲載

週刊朝日掲載記事

いまほど子どもたちの間で拝金主義が蔓延している時代は、そうなかったのではないかと思う。子どもたちはどうしたら簡単にお金が手に入るかと考え、成長してからはカード決済にふりまわされている。ニュースでは消費者金融をめぐるトラブルが後をたたない。
 若者の借金に対する緊張感のなさには、様々な要因が挙げられるが 、いちばんの原因は親が子に「お金の性格」や「お金とのつきあい方」を教えてこなかったことに問題があるのではないかと、本書は説く。じっさい日本人というのは「お金の話をすることは下品」と考える風潮が強く、「金は天下のまわりもの」と、悠長にとらえたがる。しかし肥大化するマネーゲームの世界では、その程度の認識では大やけどをしてしまう。
 自身も消費者金融業を営んでいたことがある金融コンサルタント・室井のお金に対する認識が面白い。インタビュアーの岸川が丹念に引き出している。
「お金と云うものは、本当に伴侶よりも人生で長く付き合う相手なんですね」と、室井は岸川に話す。
 だからこそ、子どものときからお金の大事さと恐ろしさを聞いて育つことが重要だ。そして、お金の半歩先にはより貴重なものがある。具体的な方法として室井は「子供のための説話 にっぽんおかねばなし」という童話を作り、本書中でイラストつきで紹介している。
 室井はこうも言う。
 「お金がずっと自分の手許にはいてくれないんですね。集まっては去っていく。決して人間に慣れることがない」深く頷きながら我が身を振り返り、お金との新たな付き合い方を模索した。
(ルポライター・横田由美子)


熊本日日新聞2004年4月22日夕刊掲載

『おかね教育』 子どものころから教えたいお金の話

 フリーの編集者が映画関係の本を出そうと訪ねて行くと、消費者金融の看板がかかっている。「間違えたのかな」と思ったら、金融業のかたわら、出版社もしているとオーナーは話す。出版の話よりそっちの話が怖くて、とても面白い。そこで岩波新書から二人の共著として『借金中毒列島』を出した。さらにお金のことは子どものころから教育しなければ、と思うようになり、この本『おかね教育』(晶文社・一六〇〇円)が誕生した次第。

 聞き手の編集者岸川真氏は若い。日本映画学校卒。話し手の室井忠道氏は六十歳。学生時代、先輩と呼び屋を始め、負債を抱えた。黒メガネの坊主頭の取立人がやってきて、「これは追われるより、追う方が楽しそうだ」とその世界に入ったそうだ。

 家でも学校でもまともにお金について子どもに教えてはいないが、子どもの方が真理を知っていたりする。もう五歳で「これはボクのお金、触っちゃダメ」と所有権を主張する。ところが、国はまさに借金まみれなのに、不景気で困っている国民に消費を奨励して、結果としては自己破産者を急増させている。「国も親もお金のことを教える資格があるのかね」と室井氏。教育をするなら、子どもが生まれてからでは遅い。胎内のうちから。いやいやもっと先、親になる前から。結婚する相手の金銭感覚までちゃんと見定める必要があるとアドバイスする。

 「お金を踏んでごらんなさい」と言う。バチが当たりそうで、だれもが躊躇する。お金は猫族で、悪女のようなところがある。紙幣だったら、まだ実感があるが、カードになると違ってくる。現金という感じがなくなり、とても怖い。

 「お金を大切に思わない人はお金に嫌われますから、お金は集まらないね。一瞬集まるけども、必ず消えていく。バブル紳士のように」と話す室井氏に「そうですか」と金に縁がなさそうな岸川氏がのんびりとうなずく。そのツッコミとボケがいい。室井氏は消費者金融業から足抜けをしたそうだが、実に大変だったという。